【食虫植物】ハエトリソウの育て方・種類・品種

ハエトリソウ(ハエトリグサ)の育て方・品種・種類等。

ハエトリソウ

ハエトリソウ(ハエトリグサ)(Dionaea muscipula)とは、北アメリカに自生しているトラップ式の食虫植物(ワシントン条約の附属書II類に指定)。ハエジゴクとも呼ばれています。

食虫植物の中でリアルタイムで動く(捕虫葉が閉じる際)ことが可能であり、ホームセンターでよく見かけますので、ウツボカズラと同じぐらいの人気・知名度を誇っている食虫植物。

ハエトリソウの捕虫葉

内部が赤味を帯びるタイプは見た目が綺麗なので、特に人気が高いのが特徴。

ハエトリソウの花(開花)

開花するとエネルギーを消耗するので、花が見たいなど特別な理由がなければ、開花前に茎部分を清潔なハサミ等で切除して構いません。

ハエトリソウの栽培難易度

ハエトリソウ(ハエトリグサ) の栽培難易度は普通程度ですが、入門者は誤って捕虫葉をいじりまくって枯らすことがあります。その為、初めて育てる人には体感難易度はかなり難しいと感じることでしょう。

ハエトリソウ捕虫葉の仕組み

ハエトリソウ(ハエトリグサ) は、葉がロゼット状に展開するロゼット型と、葉が立ち上がる系統のエレクタ型が存在。

ハエトリソウ(ハエトリグサ)は捕虫葉の内部は薄い小さな毛(センサー)がいくつか存在しており、2回刺激が加わると0.5秒という驚異的なスピードで葉が閉じます。元気のない個体や古株の場合は閉じるスピードが遅くなります。

ハエトリソウの購入方法(販売店)

ハエトリソウ(ハエトリグサ)は大量生産されているため、春~夏にかけてホームセンターや一般の園芸店で売られています。食虫植物にあまり興味がない人でも1度は見た事のある人は多いと思われます。

インターネットですと、ヤフオク・楽天・食虫植物専門店などで購入可能。

ハエトリソウの育て方・栽培方法

育て方で気を付ける点は、サラセニアと異なり根が脆くて弱弱しいです。根のトラブルになって調子を崩すとなかなか回復せず最悪枯れますので、真夏の管理は特に気を付けるようにします。

水やりは、上から直接潅水する方法と腰水のどちらでも構いません。

春の管理

特に気を付けることはなし。

夏の管理

最近の夏の日照は強烈なので、寒冷紗等で30~50%遮光すると安全出ず。または午前中だけ日が当たる場所に置いて午後以降は日陰の場所に置くのもよいでしょう。昔の真夏はそこまで厳しくなかったので遮光なしでも問題なかったですが、最近の真夏は35度(日によっては40度)を超える猛暑日が連日続きますので、遮光したほうが弱った個体でもトラブルが少なくなります。

連日の猛暑で無駄にハエトリソウの体力を消耗させてもメリットはないので、夏に関しては育てるというより、ハエトリソウを休ませるという意識で接してやれば、調子を崩さずに上手く育てられると思います。

夏の時期に腰水をするとお湯になりますので、朝or夕方の涼しい時間帯に潅水や腰水すると良いです。ただし、日中の時点で既に用土の表面が乾いていた場合は放置しておくと乾燥して枯れますので、このように緊急を要する場合は上からたっぷり潅水するようにします。

秋の管理

春と同様に特に気を付けることはなし。

冬の管理

寒くなったら休眠して地上部の捕虫葉は全て枯れますが、本体の株は生きてますので、用土は乾燥しないように気を付けます。冬の時期に完全に休眠させないと翌年の成長に支障をきたすので、家に入れて加温させないよう注意。

春になると捕虫葉が展開するようになります。

ハエトリソウの置き場所

基本的には屋外でよく日の当たる場所へ。

初心者が陥りやすいミスですが、コンクリートの上に鉢を直接置くのは厳禁。真夏のコンクリートの表面温度は50度は超えてますので、その上に鉢を直接置いたらハエトリソウもたまったものじゃないですね。対処法は100円ショップやホームセンターに売っている人工芝やポットフィートをかませるか、またはラックの上に置くのが有効。

室外機の上や周辺も暑くなるので、ベランダのスペースがもったいないからと近くに置くのは止めます。

ハエトリソウの用土

生水苔単用、乾燥水苔単用、無機質用土単用(鹿沼土のみ等)あたりがおすすめ。生水苔はその辺のホームセンターや園芸店ではまず入手不可能ですので、ヤフオク、Amazon、楽天等で購入すると楽です。

ハエトリソウの鉢

駄音鉢(朱温鉢)、プラ鉢(スリット鉢)辺りがおすすめ。

また、プラ鉢の場合は色は白やグレー等がいいです。購入した時点でのハエトリソウは大抵黒色のポリポット(またはプラ鉢)に植えられてますが、黒色は太陽熱を吸収して真夏は鉢がかなり熱くなるので控えたほうがいいでしょう。

真夏に黒色の鉢を使うと一瞬持てないほど熱くなります。

ハエトリソウの水やり(潅水)

毎日水やりをする必要はなく、表面の用土が少し乾いたら上からたっぷり水やりを行います(鉢底から4秒ぐらい流れるまで)。用土がピートモスや水苔の場合は乾きすぎると水を弾くので、腰水管理のほうがよいでしょう。

仕事等で潅水をするのが面倒な人は、腰水にすれば管理が楽になります。古い水をいつまでも放置しておくのは汚いので、腰水にする場合は毎日水を替えたほうが清潔です。

注意点としては真夏の日中に腰水をすると、温度が上昇してお湯になり根にダメージを与え調子を崩すことがあるので、夏に関しては朝か夕方に水やりをすれば安全です。

ハエトリソウの肥料

人為的に与える必要はなし。屋外に置いておけば勝手に捕虫します。捕虫していなくても生育上支障はないです。

ハエトリソウの植え替え(株分け)

順調に育てば新しい株が付くので、植え替え時に株分けすることができます。株が小さすぎたり、強く引っ張らないと取れない場合は来年以降にしたほうがいいでしょう。

植え替えの際は古い用土は落とすようにしますが、ハエトリソウの根は脆く、力を入れて作業すると簡単に取れてしまうので要注意。バケツ等に水をはって、水に浸しながら軽くほぐすように古い用土を取り除くのがよいでしょう。どうしても取れない古い用土は無理して取る必要はなし。

ハエトリソウを植え替える際の鉢はスリット鉢(プラ鉢)、朱温鉢(駄音鉢等)のどちらでも構いません。

植え替え手順

①古い用土を落とした株。プラ鉢(スリット鉢)を使わない場合は、鉢底に鉢底石を入れておきます(根腐れ防止)

②手の平に生水苔を置き、その上にハエトリソウを置きます。

③上から生水苔をかぶせます。あとは、鉢が収まるぐらいまでの水苔を周りに巻いていきます。

④植え替え完了。鉢底からたっぷり水が流れるまで水やりをし、数週間は高湿度&半日蔭で管理。葉が展開するようになったら通常管理に戻してOK。

水苔を鉢に詰めるさいは、硬すぎても柔らかすぎても根に良くないので注意。上手く表現しづらいですが、水苔を押したときの弾力がスポンジと同等またはやや硬めぐらいが良いです。

ハエトリソウを上手く育てるポイント

ハエトリソウを上手く育てるコツ

捕獲虫は触らない

捕虫葉を何度もいじって閉じさせると大量のエネルギーを消耗し寿命を縮めます。元気な株ならちょっといじったぐらいでは枯れはしませんが、空運動をさせてもメリットはないので、不必要に触らないようにしましょう。

順化させる

生物が温度、光などの気候(環境)の変化に対して生理的に順応することを馴化といいます。購入したお店の栽培環境と、これから育てる環境があまりにも違う場合、環境に適応できずに枯れたり弱ることがあります。

なので、購入したお店からどのような栽培環境で管理していたのか事前に聞いておくようにしましょう(遮光ありorなしのどちらで育てているか等)

入門者で一番ミスしやすいのがこの順化という工程を完全無視(特に真夏)しているのが多いと思われますので、まずは徐々にハエトリソウを環境にならすことが大事です。

例えば購入してすぐフル日照(1日8時間以上)で管理するではなく、購入初日は日照1時間、2日目は2時間、3日目は3時間等、徐々に日照時間を増やしていけばハエトリソウの負担が減ります。

専門店で購入

ハエトリソウはホームセンター等でも購入可能ですが、子供に捕虫葉をいじられたり、ホームセンターの従業員が間違った方法で管理されていることが多く、既に衰弱してる可能性が高いです。食虫植物専門店で購入すればそういったリスクがないため、元気な個体を得られるケースも多いです。

どうしてもホームセンターでハエトリソウを購入したい場合は、入荷した直後の個体を購入するのがよいでしょう。

種類(品種)

ハエトリソウは通常種に加えてかなりの品種が存在。業者が勝手に名前を付けたような訳の分からない品種も混ざってるようです。

ハエトリソウは立ち上がる系統のエレクタタイプ、地表に葉を平らに並べたロゼットタイプの2タイプが存在し、さらに株全体が赤味を帯びるタイプ等多種多様です。どちらのタイプが欲しいかは事前に調べておきましょう。

ハエトリソウ(通常種)

ハエトリソウの通常種。ロゼット型に展開するタイプと、エレクタタイプ(葉が立ち上がる)が存在。ホームセンター等で販売されているタイプは大体これです。

ハエトリソウ(ノーマルタイプ)
エレクタタイプ
ハエトリソウ(ロゼット型)
ロゼットタイプ

ビッグマウス

ハエトリソウで大きくなる品種。ロゼットタイプの捕虫葉より約1.5倍~の大きさになり、ロゼット型で最も大きくなる系統はビッグマウスと言われています。

ハエトリソウ(ビッグマウス)

B52

ハエトリソウで最も大きくなると謳われている品種。ロゼットとエレクタの中間タイプ。捕虫葉は最大5cmまでいけると噂がありますが果たして?

ハエトリソウ(B52)

カップトラップ

名前の通り捕虫葉がカップのように円形になります。

ハエトリソウ(カップトラップ)

ホエール(Whale)

名前の通り捕虫葉がクジラの髭に似ています。あまり出回ってないレア品種。虫を取る気のない形状に見えますが、捕獲してるのを何度か見てますので機能上は問題ないのでしょう。

ハエトリソウ(ホエール)

京都レッド

赤系統の超人気種。赤系統のロゼットタイプであまり出回ってないレア品種。

ハエトリソウ(京都レッド)

ピンクビーナス

ハエトリソウの赤系品種。京都レッドと同様にロゼット型。赤系統品種でロゼット型に展開するタイプは京都レッドとピンクビーナスの2種と言われてます。

ハエトリソウ(ピンクビーナス)

赤い龍

ハエトリソウの赤系品種で大型のエレクタ型。

ハエトリソウ(赤い龍1)
ハエトリソウ(赤い龍2)

レッドピラニア

ハエトリソウのデンタータと赤い龍の組み合わせで作られた名品。ピラニアのように鋭いギザギザが特徴。

ハエトリソウ(レッドピラニア1)
ハエトリソウ(レッドピラニア2)

ロイヤルレッド

ハエトリソウの赤系統の品種

ハエトリソウ(ロイヤルレッド)

ラベル不明

ロゼット型でかなり赤く染まるタイプなので、京都レッド?のような感じもしますが不明。

ハエトリソウ(ラベル不明)

おすすめのハエトリソウ

でかいサイズなら、ビッグマウスやB52が良いでしょう。価格もお手頃なので簡単に入手できます。赤系統品種なら赤い龍辺りがいいと思います。

雑記

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