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帰ってきたドラえもんの感想・レビュー

ナンバーズ4(5839回)
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商品名帰ってきたドラえもん
著者藤子・F・不二雄
©藤子プロ
出版社小学館
原作
映画
単行本6巻(さようなら、ドラえもん)〜7巻(帰ってきたドラえもん)
1998年3月7日公開

帰ってきたドラえもん

映画版の帰ってきたドラえもんは原作と結構異なりますが、個人的にはドラえもんで感動できる作品ナンバーワンですね。

のび太が家に帰りドラえもんから未来に帰るという衝撃の事実を突きつけられ、花瓶の花びらが落ちます。
この花びらはドラえもんとの別れが刻一刻と迫っている描写です。この一定間隔で散っていく花びらのシーンがまたいいんですよね。

未来に帰ると告げられ号泣するのび太。必死にママに何とかしてと懇願するが、ドラちゃんにも都合があるから我儘言うなと伝えるが、のび太は自分の部屋に閉じこもってしまいます。

ドラえもんと別れるだけで何でのび太が号泣するのか疑問に思う観客(視聴者)もいるでしょう。特にドラえもんは帰ってきたドラえもんを見るのが始めてな人にとっては尚更です。

ドラえもんの映画を見る全ての人が原作は見ていませんので、まずはドラえもんとのび太の関係性を観客に理解させる必要があります。

そこで原作にはなかったパパがのび太の部屋に行き慰めるシーン。パパが押入れを開けて、「以前も似たようなことがあったな。おばあちゃんが亡くなったときも押し入れで泣いてたよな」。

パパが去った後、のび太はおもちゃ箱にあったダルマを取り出しおばあちゃんの回想シーンが始まる。

「自分ダルマになる。転んでも立ち上がる。」

パパおばあちゃんダルマの3シーンを入れることで、ドラえもんとの別れはおばあちゃんとの別れ(死)と同等またはそれ以上の悲しみであることを印象づけてます。

また、人生どんなに辛いことがあってもいつまでもくよくよしてちゃ駄目。必ずその壁を打ち破って乗り越え、いつか立ち上がる必要があるんだよという人生の厳しさを観客に訴えかけてます。人は試練を乗り越えないと成長しないってことですね。

これでドラえもんとの別れは非常に辛いことを観客に理解させ納得させる展開になってます。

のび太はドラえもんと無言でシーソーに乗ってます。ドラえもんはのび太がジャイアンやスネ夫にいじわるされないか不安が募ります。

ジャイアンとの決闘シーンで、のび太はドラえもんが見ている前でジャイアンに勝利したことで、ジャイアンやスネ夫にいじわるされても1人で対処できる事を証明させて、ドラえもんの不安が完全に払拭されました。

ついに別れのときがきます。

ドラえもんはのび太が寝たのを確認し、タイムマシンに向かいます。

のび太が「ドラえもん」と寝返りを打ち、ドラえもんが笑顔で振り返ります。

タイムマシンに乗り込み、溢れ落ちる涙が止まらずのび太を見つめます。

最後は笑顔になり、
「のび太君…さようなら」
今までの感謝、幸福、不安など様々な感情が全て凝縮された強烈な一言です。ここで涙腺崩壊した人は数知れないでしょう。

朝になり、ドラえもんが置いていった道具を抱きしめながら、花瓶の花びらは全てなくなりました。

場面が変わり、花瓶に新しい花が植えられ心機一転の生活が始まります。

ジャイアンとスネ夫がのび太に対して嘘を付く場面も人間ならではの残酷さを表現してます。親友であり永遠の別れをしたドラえもん。

そのドラえもんが帰ってきたなんて嘘は一番傷つける行為。

リアルでも傷つくと分かっててあえて感情を逆なでする人って結構いるかと思いますがそれとリンクしてます。

桜ももう終わりだねといい復活した桜。

家に帰り、のび太が階段を登っていくときに心配そうな顔で見上げるママとパパ。

ドラえもんと感動の再開を果たした後、
ママが3つだったおかずを1つプラスし4つにする場面。

ラストはジャイアンが謝罪。

完璧の構成ですね。

神の力

ウソ800は単行本7巻で登場しますが、それより前に嘘にする道具が登場したのは、うそつ機とソノウソホントです。

ソノウソホントは原作では全てとは記載されてないので効力は限定されてると思います。

うそつ機はあくまで騙す道具なので、嘘を具現化させることは無理です。ドラえもんがうしろにおばけがいると嘘を言いましたが、実際におばけはいなく具現化されてませんね。

対してウソ800の効力は原作では、話した事がみんな嘘になると記載。つまり効力は全てです。

ウソ800を飲んだことで、天候さえ自由に操ることができるようになったのび太。全てを嘘に変えることができるのはもはや神の力。

この時点ののび太は全てを超越した神のような存在になってたんでしょうね。

のび太にとって本当に必要だったのは

原作でも映画でもウソ800が登場したさい、そのとき君に必要なものが出てくる。とドラえもんが語る描写があります。

ジャイアンたちを懲らしめてものび太は寂しげな顔をしてます。嘘を付かれてジャイアンたちを凝らしめるだけなら、ウソ800である必要はないです。

仕返ししても何も生み出さない事を悟ってます。

のび太にとって本当に必要だったのは、仕返しすることではなく、ドラえもんというかけがえのない親友(友情)が必要だったということです。

まとめ

ドラえもんが帰る(最終回)なんて全ては嘘だった。

ドラえもんはのび太のためにも、またドラえもんを見てくれている世界のファンのためにも、まだまだこの世(現在)に必要だったということですね。

帰ってきたドラえもんと双璧をなす作品は未だ現れてないですね。たった30分という短い時間でありながら、原作の基本を生かしつつ映画でしか表現できないことを体現化させて昇華させた空前絶後の最高傑作。

これぞ究極の完成形映画です。

情報提供、雑談等

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